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【南タクシー株式会社】「人が来ない」を覆す。熱量300%で業界を変える大岡社長の挑戦

2026年05月25日

南タクシー株式会社

【南タクシー株式会社】「人が来ない」を覆す。熱量300%で業界を変える大岡社長の挑戦

◇企業紹介◇

南タクシー株式会社は、大阪市を拠点に50年以上の歴史を持つタクシー会社です。現在は3代目社長・大岡氏が2016年に就任し、60台の車両と約120名のドライバーを擁する企業へと成長を遂げています。「タクシーは単に人を運ぶだけではない。人命・生活・人生という3つの”生”を運んでいる」という理念のもと、女性ドライバーの積極採用や最新設備への投資を推進。コロナ禍を乗り越え、平均年齢を7〜8歳若返らせることに成功した同社の取り組みは、業界の常識を覆すものとして注目を集めています。今回は大岡社長に、タクシー業界への転身から事業承継、そして未来のビジョンまでを伺いました。取材担当は学生団体GOATの石崎が務めます。

ブラジル人通訳から始まったキャリアの原点

大岡社長がタクシー業界に足を踏み入れるまでの道のりは、決して一直線ではありませんでした。20歳を過ぎた頃、家業であるタクシー会社について親から聞かされていたのは、「人が来ない」「先行きが暗い」「儲からない」という悪い話ばかり。当然、継ぐ気持ちは全くなかったといいます。

最初に就職したのは、東海地方の自動車部品製造会社でした。そこで大岡社長の人生を変える出会いが待っていました。職場には日系ブラジル人が多く働いており、日に日にその数は増えていきました。「彼らの言葉、ポルトガル語を一生懸命勉強して、職場で通訳なんかも任されていたんです」と大岡社長は振り返ります。

「言葉を覚えるのが得意なのかな、と自信過剰になって、言葉を使った仕事をしたいと思ったんです」

この気づきが、次のキャリアへの扉を開きました。北関東の派遣会社に転職し、日本に来たばかりのブラジル人の生活支援に奔走する日々。当時はブラジルからの労働者が最も多かった時代です。彼らの日常生活をサポートする中で、「将来は外国人と結婚したい」という思いも芽生えたといいます。

そして30歳を迎えた頃、ふと「家業でタクシーをやっていたな」と思い出し、「少しかじってみようか」と南タクシーに出向する形で働き始めました。ただし、いきなり自社に入るのではなく、まずは業界最高峰のサービスで知られる大手タクシー会社で修行を積むという選択をしています。

◾ 取材担当:石崎の感想

親から聞かされるネガティブな情報だけで判断せず、まずは全く別の分野で自分の強みを見つけ、その上で家業を「かじってみる」という姿勢。就活において「親の会社だから」「地元だから」という理由だけで選択肢を狭めてしまいがちですが、大岡社長のように一度外の世界を見てから戻るという選択もあるのだと気づかされました。修行を積んでから自社に入るという判断も、プロ意識の高さを感じます。

「人が来ないのは何もしていないから」社長就任後の採用改革

2016年、大岡社長が3代目として就任した当時、売り上げは厳しい状態でした。しかし、それ以上に深刻だったのは人材不足の問題です。先代である父親は「人が来ない、人が来ない」と嘆いていました。

「いや、そうじゃないだろうと。何もしていないから来ないんだ。社長に熱意がないと部下には伝わらない。絶対に社長が動かないといけないんです」

大岡社長は人材確保に全力を投じました。インバウンドで訪日外国人も増加する中、観光事業も視野に入れてジャンボタクシーも手配。事業拡大への準備を着々と進めていました。しかし、その矢先にコロナ禍が襲来。史上最大の損害を受けることになります。

「交通関係は人の動きが止まると本当に商売にならない。しかし、タクシーは医療従事者のためにいつも通り仕事をしました。社会に必要なものですから」

コロナ禍で比較的高齢の運転手が退職する中、大岡社長は逆転の発想で動きました。若い人と女性を積極的に採用しようと決意し、ピンクを基調とした女性向けのホームページを新たに制作。保育園との共同経営による福利厚生も整備しました。

現在、運行管理者という事務職10人のうち5人が女性。ドライバーの中でも女性は7人在籍しており、業界では珍しい多さです。さらに、コロナ前後で平均年齢は7〜8歳若返りました。

「社長の最大の責務は、『社会に必要とされている仕事なのだ、誇りを持って働いてください』ということを浸透させることに尽きます」

◾ 取材担当:石崎の感想

「何もしていないから来ない」という言葉は、採用に悩む多くの企業への痛烈なメッセージだと感じました。コロナという最悪の状況を、若返りのチャンスに変えた発想力と行動力は見事です。女性向けのピンクのホームページや保育園との連携など、具体的な施策を次々と実行している点も印象的でした。「誇りを持って働いてください」という言葉を浸透させることが社長の責務だという考え方は、これから社会に出る私たちにとっても、どんな組織で働きたいかを考える重要な指標になります。

学生へのメッセージ:熱量300%で、失敗を恐れず主導権を握れ

大岡社長から就活生へのメッセージは、自身の経験に裏打ちされた力強いものでした。

「若いうちは失敗しても立て直す余裕がある。体力、思考力、積極性、人間関係などを伸ばす最高の時期。ゴールデンエイジです」

学生時代、大岡社長は多くの本を読み、尊敬できる人を探しました。講演会にも足を運び、留学も経験。父親の勧めで囲碁も始め、頭が柔らかいうちに良い経験を積んだといいます。

そして、最も強調されたのが「熱量」の重要性です。

「熱量300%ぐらいのつもりで話さないといけない。ものすごく熱を込めて話しても、相手に伝わるのって半分ぐらいに覚めてしまう。その人がまた別の人に言ったら、また半分ぐらい熱が覚める。だから社長は300%ぐらいの熱量で話さないと伝わらないんです」

日本には「能ある鷹は爪を隠す」「出る杭は打たれる」ということわざがありますが、大岡社長はこれを「日本ならではの言葉」と一蹴します。

「これから世界視野を見ていくには、主導権を自分が取ることが大事。トランプ大統領なんか熱量300%で主導権を取っていますよね。あまり遠慮せずに、学生の時から身につけていったらいい」

夢を大きく持ち、失敗や変化を恐れないこと。同調圧力に流されず、自らイニシアチブを取ること。それが大岡社長から若者へのエールです。

◾ 取材担当:石崎の感想

「熱量300%」という言葉が最も心に残りました。どれだけ熱く語っても、伝わる頃には半分に覚めてしまう。だからこそ、最初から全力以上で伝えなければならない。これは就活の面接でも、社会人になってからも、あらゆる場面で活きる教えだと感じました。大岡社長自身が、まさに300%の熱量でタクシー業界の魅力を語ってくださったこの取材。その姿勢こそが、言葉以上に多くのことを教えてくれました。