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【株式会社ノースオブジェクト】「心豊かな暮らしを、手に届く価格で」子育て世代への想いから生まれた挑戦

2026年06月11日

株式会社ノースオブジェクト

【株式会社ノースオブジェクト】「心豊かな暮らしを、手に届く価格で」子育て世代への想いから生まれた挑戦

◇企業紹介◇
株式会社ノースオブジェクトは、1999年4月に大阪で創業したアパレル・ライフスタイル企業です。代表取締役の南社長が37歳の時に独立開業し、現在は社員約75名、パートスタッフ約40名の計120名規模で事業を展開しています。アパレルブランドの企画・製造・卸売を主軸としながら、レストランやベーカリーなどの飲食事業、そして大阪府大東市の「morinekiプロジェクト」への参画など、「手に届く心豊かな暮らし」を届けることを理念に多角的な事業を展開しています。今回は南社長に、学生団体GOATの取材担当がお話を伺いました。アパレル業界一筋で培った物づくりへの情熱と、子育て世代への深い共感から生まれた独自のビジネスモデルについて、創業から26年の歩みとともにお届けします。

「好きなこと」が仕事になった瞬間——学生時代のアルバイトが人生を変えた

南社長がアパレル業界に足を踏み入れたきっかけは、学生時代のアルバイトでした。京都で学生生活を送っていた南社長は、旅館の布団敷き、映画村のエキストラ、百貨店でのアイスクリーム販売、皿洗いなど、実にさまざまなアルバイトを経験しました。その中で出会ったのが、小さなアパレル会社での仕事でした。

「服装も自由だったし、スーツじゃなくていい。男女のやり取りもフラットで、堅苦しくない雰囲気でした。いろんなアルバイトをやってきた中で、面白いなと思ったのがアパレルだったんです」

特に資格や専門知識があったわけではありません。しかし、服が好きだったこと、そしてその職場の自由な空気感に惹かれたことが、22歳での就職先をアパレル業界に決めた理由でした。営業職としてキャリアをスタートさせた南社長は、そこから現在に至るまで一貫してアパレルの世界で歩み続けています。

「22歳で働き始めて以来、今でもまだ服の仕事は飽きないなって感じてます」——この言葉には、好きなことを仕事にし続けてきた人ならではの説得力がありました。

◾ 取材担当:学生団体GOATの感想

南社長が学生時代に経験したアルバイトの幅広さに驚きました。映画村のエキストラから皿洗いまで、一見バラバラに見える経験の中から「アパレルが面白い」という発見をされたことが印象的です。就活では「何がやりたいか分からない」と悩む学生も多いですが、南社長のように「まずいろいろやってみる」という姿勢が、自分の好きなことを見つける近道なのかもしれません。資格や専門性がなくても、「面白い」という感覚を大切にして飛び込んでいく勇気が、30年以上続くキャリアの出発点になったのだと感じました。

「初めて人よりもできる仕事がある」——物づくりで開花した才能と独立への道

営業として入社した南社長に転機が訪れたのは、入社3年目のことでした。当時はバブル前の好景気で、服がよく売れる時代。そんな中、南社長は自分で商品を企画し、製造するチャンスを得ました。

「物づくりは全然知らなかったんですけど、少しずつできるチャンスをもらえまして、それがかなりすごく売れたんですよ。初めて自分で人よりもできる仕事があるのかもしれないって思いました」

自分で企画した商品が売れる。卸先の店舗で好評を得る。お客様が喜ぶ。会社からも評価される。この「プラスの連鎖」を体験したことで、南社長は物づくりの面白さに目覚めていきました。

その後、上司が別の会社に引き抜かれたことをきっかけに、ブランドのリーダーとしての役割を任されるようになります。さらに2年後、その上司が移った10人規模の小さな会社に南社長も転職。28歳の時、その会社の社長の経営姿勢に疑問を感じたメンバー4人で独立を決意しました。

この時、南社長は取締役として参画。会社設立の事務手続きから携わりながら、約10年間、物づくりと営業の両方のスキルを磨いていきました。量販店との取引では、1.2メートルの棚2台分、約30型の商品を買い取り条件で任されるまでに成長。生地から染め方まで、大阪市内や和歌山の工場を直接回り、国産素材を中心としたものづくりのノウハウを蓄積していきました。

◾ 取材担当:学生団体GOATの感想

「初めて人よりもできる仕事があるかも」という言葉が強く印象に残りました。南社長も最初から才能があったわけではなく、チャンスをもらって挑戦した結果、自分の強みを発見されています。28歳での独立も、経営者への不満がきっかけという率直なお話に、ビジネスの現場のリアルを感じました。会社の看板ではなく「自分自身のスキル」で取引先と信頼関係を築いていった経験は、どんな業界でも通用する本質的な力だと思います。まず目の前の仕事で結果を出し、自分の市場価値を高めていくことの大切さを学びました。

「子育てしている人たちに喜んでもらえる仕事がしたい」——独立志向ゼロから起業を決意させた原体験

独立志向はゼロだった——南社長は取材の冒頭でそう語りました。では、なぜ独立志向ゼロから37歳で株式会社ノースオブジェクトを立ち上げることになったのでしょうか。

きっかけは、第一子の誕生でした。子育てに携わる中で、南社長はある問題意識を強く持つようになります。

「子育てってかなりハードルの高い仕事なんです。でも、そんなに頑張っている人たち向けの服がなかったり、カフェがなかったり。ベビーカーを押していても通路が狭かったり、子供が売り場でうろうろしたら邪魔者扱いされたり。ストレスを晴らすためにカフェに行っても、また邪魔みたいな。そういう不満を持っている人は多いのかなと思ったんです」

アパレルだけを作り続けていていいのか。服だけでなく、食や暮らし全体を通じて、子育て世代に貢献できる事業はできないか。そんな想いが徐々に形になっていきました。

しかし、当時所属していた会社にこの構想を相談しても、賛同は得られませんでした。同時期にデザイナーが退職し、南社長とデザイナー2人の3人で環境も整いました。物を作れるスキルがある、取引先もある、そして「子育てをしている人たちに貢献できる会社なら価値がある」という確信——これらが重なった1998年、南社長は独立を決意し1999年に独立しました。

「独立する意識はなかったけど、意味のあることならやってもいいのかなと。好きでアパレルを始めて、やってみたら意外にそこが開花して、子育ての中で感じる不満をソリューションにできるかもしれない。いろんな状況が重なって、独立に至ったんです」

◾ 取材担当:学生団体GOATの感想

起業の動機が「お金を稼ぎたい」でも「有名になりたい」でもなく、「子育て世代の不満を解決したい」という社会課題への気づきから始まっていることに感銘を受けました。しかも、その気づきは自分自身が子育てに関わる中で実感したリアルな体験から来ています。ビジネスの種は、日常の「おかしいな」「もっとこうだったらいいのに」という感覚の中にあるのだと改めて感じました。また、独立のタイミングについても、情熱だけでなく「スキル・取引先・協力者」が揃った時を見極めている点は、起業を考える学生にとって参考になる視点です。

「未完成を一緒に楽しめる人と働きたい」——共感で集まる組織のつくり方

創業から26年、社員75名・パート40名の計約120名規模にまで成長したノースオブジェクト。しかし、南社長は採用の難しさを率直に語ります。

「興味を持ってくれる人はホームページを整備してから増えました。でも、まだまだ認知度が足りない。そして、うちはまだまだ未完成なんです」

morinekiプロジェクトも、アパレル事業も、まだ道半ば。初任給の高さや福利厚生の充実を求める人よりも、未完成の事業を一緒に育てていく過程を楽しめる人を求めていると南社長は言います。

「今すごくうまくいっているわけではない。でも、同じ船に乗って、同じ希望を持って、向かうべきところに一緒に進んでいく。年齢も性別も関係なく、楽しみながら働いて、自分たちの力で収入も上げていく。そういう考えの方がいいんだろうなと思います」

最近入社してくる人は、ほぼ全員が理念への共感から応募してくるといいます。世の中に役立ちながら、しっかり稼ぎ、結果として福利厚生も働き方も良くしていく——その順番を理解している人が、長く活躍できる環境なのです。

取引先についても特徴的です。アパレル企業でありながら、卸先は本屋、家具屋、雑貨屋など「生活を売っている」店舗が多いとのこと。ノースオブジェクトの商品が、単なる服ではなく「暮らしの中にあるもの」として位置づけられていることの表れです。

◾ 取材担当:学生団体GOATの感想

「未完成を一緒に楽しめる人」という言葉が印象的でした。就活では安定した企業、福利厚生の充実した企業を選びがちですが、成長途上の組織で自分も一緒に成長していく選択肢もあるのだと気づかされました。理念に共感して入社した人が長く活躍するという話は、就職先選びの本質を突いています。また、アパレル企業なのに卸先が本屋や家具屋という話も興味深く、「何を売っているか」ではなく「どんな価値を届けているか」でビジネスを捉える視点が新鮮でした。

学生へのメッセージ——「好きなこと」と「社会への貢献」が重なる場所を探してほしい

取材の最後に、南社長から若者へのメッセージをいただきました。

「好きなことを仕事にする方が、やっぱり楽だし、強みも活かせます。私たちの世代は、会社に入ったらそのまま家が建てられて、死ぬまで安泰という時代でした。でも今は全く違う。だからこそ、やりがいを大事にしてほしい」

南社長が強調するのは、「自分の好きなこと」「自分の強み」「社会への貢献」の3つが重なる場所を見つけることの大切さです。

「生涯年収で見ても、その3つが重なるところが一番上がっていくと思う。初めは給料が多くなくても、スキルを積んで、別の会社に移ってもいいし、独立してもいい。1つの会社にずっといる必要はないんです」

学生時代にいろいろなアルバイトを経験し、その中で「好き」を見つけた南社長だからこそ言える言葉です。お金のためだけに夜の居酒屋で働くのではなく、自分が興味のある分野でアルバイトをしてみる。そこで見つけた「好き」と「強み」を軸に、長いスパンで人生を設計する。そんな就職活動のあり方を、南社長は提案してくれました。

◾ 取材担当:学生団体GOATの感想

「1つの会社にずっといる必要はない」という言葉に、時代の変化を感じました。南社長ご自身も、複数の会社を経て37歳で起業されています。「最初の就職先が全てではない」というメッセージは、就活のプレッシャーを感じている学生にとって救いになると思います。好きなこと、強み、社会貢献——この3つの重なりを意識しながら、まずは興味のあることに飛び込んでみようと思いました。視野を広げることの大切さを改めて教えていただいた取材でした。