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【株式会社ACG】「課題に夢中のまま死にたい」介護業界20年の経営者が語る生き方の本質

2026年06月11日

株式会社ACG

【株式会社ACG】「課題に夢中のまま死にたい」介護業界20年の経営者が語る生き方の本質

◇企業紹介◇

株式会社ACGは、鹿児島県を拠点に福岡県まで事業を展開する介護・福祉企業です。在宅介護サービス、障害者支援サービス、特別養護老人ホームなど幅広い福祉サービスを手がけ、従業員数は800名超規模に成長。近年はAIホリエモン学校のFC展開やAIコンサルティング事業にも参入し、介護業界のDX推進にも注力しています。代表取締役の大牟禮康佑氏は、28歳で独立してから約20年間、介護業界の処遇改善という社会課題に向き合い続けてきました。今回は、学生団体GOATが、大牟禮氏の経営哲学と若者へのメッセージをお伺いしました。

建設会社から介護業界へ——「社長になりたい」という高校時代からの夢

大牟禮氏のキャリアは、意外にも建設業界からスタートしました。高校時代から「何かしら社長になりたい」という明確な夢を持っていた大牟禮氏は、鹿児島という地方で目につく経営者といえば土木工事の建設会社社長だったことから、工学部へ進学し、新卒でゼネコンに入社します。

しかし、入社した時代は公共事業がどんどん削減される不景気の真っ只中でした。「建設会社はもうダメなんだろうな」という感覚を抱いた大牟禮氏は、わずか1年弱で建設業界を離れ、介護業界へ転身します。当時の日本は介護保険制度が始まったばかりの時期であり、「これからは介護事業の時代が来る」という話を耳にしたことがきっかけでした。

介護会社で経験を積んだ大牟禮氏は、独立の決断を下します。その背中を押したのは、半年前に独立した上司の存在でした。「一緒に働いていて、さほど能力が違うように見えなかった。彼ができるんだったら僕もできるな」という率直な判断が、28歳での起業につながりました。

「準備しすぎると、いつの間にやら30後半でしたみたいな人がたくさんいる。だからちょっとネジを外さないといけない。」と大牟禮氏は語ります。起業できない人には2つのパターンがあると分析します。1つは、良い学歴と安定した会社を捨てられない人。もう1つは、準備しすぎて動けなくなる人。リスクが見えすぎる人よりも、見えない人の方が一歩を踏み出せるのかもしれません。

◾ 取材担当:学生団体GOATの感想

「ネジを外さないといけない」という言葉が強く印象に残りました。私たち若者は、就職活動でも「準備が大事」「リスクを考えろ」と言われ続けます。しかし、完璧な準備を求めれば求めるほど、行動は遅れていく。大牟禮氏のように「彼ができるなら僕もできる」と素直に思える感覚こそが、起業家に必要なマインドセットなのだと感じました。もちろんリスク管理は大切ですが、それに囚われすぎて動けなくなることの方が、長い人生においては大きなリスクなのかもしれません。

100人の壁を超えて気づいた「組織作り」という本質

約20年間の経営を通じて、大牟禮氏は経営者として大切にすべきことがフェーズによって変わることを学んできました。創業期に必要なのは、とにかく生き残るための戦略と実行力。しかし、会社が大きくなるにつれて、組織作りの重要性が増してきます。

「最初の100人ぐらいまでは自分が全部話せる。自分のリーダーシップだけで済む。でもそこを超えると、仕組みとしてどうやって人が動いてくれるかを意識していかないといけない」と大牟禮氏は語ります。現在、従業員数600〜700名を抱える組織を率いる中で、この転換点の重要性を痛感してきました。

大きな組織を動かすには、会議や総会といった場の設計が不可欠です。予算をみんなで共有し、「一緒に頑張ろう」と思える瞬間を作り出す。最初は「こんなことに意味があるのか」と感じていた大牟禮氏も、今ではこちらの方が経営の本質だと確信しています。

◾ 取材担当:学生団体GOATの感想

数百人規模の組織を実際に運営している方の言葉は重みが違います。「共有する場が必要」という表現も印象的で、組織運営には論理だけでなく、人の心を動かす仕掛けが不可欠なのだと理解しました。

介護職の処遇改善——「悲惨な事象をいっぱい見てきたから」

大牟禮氏がYouTubeやSNSで積極的に発信を続ける理由は、自社のためだけではありません。介護業界全体、そして介護職という仕事そのものに対して真剣に向き合っているからです。その原動力は、長年にわたって目の当たりにしてきた「悲惨な事象」にあります。

「若い頃、自分が勤めている時もそうでしたし、起業してすぐの頃はうちの給与も高くなかった。その頃の人たちが引退して、あまり豊かな生活を送れていない事象も見ています」と大牟禮氏は語ります。介護職の年収は全産業平均より約100万円低いという現実があります。エッセンシャルワークを一部の人たちに押し付けながら、その対価を正当に支払わない社会構造に、大牟禮氏は強い問題意識を持っています。

「後々の日本の歴史を振り返った時に、『こういう悲惨な時代もあったよね』と振り返られるような給与水準だと思っています」という言葉には、業界の現状への強い危機感が表れていました。

大牟禮氏は昨年まで政治活動にも注力し、介護報酬を上げようというアプローチを試みました。しかし、それがなかなか難しいと判断し、別の道を模索し始めます。それがAI活用による事務経費の削減です。介護保険や医療保険の仕事は書類が非常に多く、そこを効率化できれば現場スタッフの取り分を増やせる。この考えから、AIホリエモン学校のFC展開やAIコンサルティング事業に乗り出しました。

◾ 取材担当:学生団体GOATの感想

介護職の処遇改善を「自分の会社だけの問題」ではなく「社会問題」として捉え、政治活動にまで踏み込んでいた事実に驚きました。それでも難しいと判断すれば、すぐにAI活用という別のアプローチに切り替える柔軟さも印象的です。「なんとかできる人がしないと」という言葉からは、経営者としての責任感だけでなく、業界全体を変えていこうとする使命感が伝わってきました。

「課題に夢中のまま死にたい」——人生の意味を見出す経営哲学

取材の中で最も印象的だったのは、大牟禮氏の人生観についての言葉でした。介護職の処遇改善に取り組むことは、実は自分の事業にとってマイナスになることもあるといいます。財務的にもデメリットがある。それでも取り組み続ける理由を、大牟禮氏はこう説明しました。

「結局、人生の中でどれぐらい稼げるかみたいなことを競ってるゲームでもない。何かしら『自分の人生はこういうことを解決するためにある』と設定できるような課題があると、生きるのに張りが出る。生きてる意味がそこに付与される」

普通に生きていると、生きていることに意味を見出すのは難しい。どうしてもつまらなくなる。「少しずつ死んでいってる感じ」になると大牟禮氏は表現しました。だからこそ、自分なりの課題を持つことが大切なのです。

「将来どうなりたいかって言うと、こういう課題をずっと追ってる感じで死にたい。課題に夢中になってる生きていきたい。」という言葉は、お金でも楽さでもない、人生の本質を突いていました。

ただし、社会課題に取り組めるようになるのは「自分は食いっぱぐれないな」という確信を得た先にあるとも指摘します。「とりあえず寿司を食おうと思ったら寿司が食えるぐらいのことは確保したな」という段階に達してから、社会問題に目を向けられるようになる。就活生に対しては、まず就職してスキルを身につけ、「自分は食っていける」という自信をつけることの重要性も語りました。

◾ 取材担当:学生団体GOATの感想

「課題に夢中のまま死にたい」という言葉に、経営者としてだけでなく、一人の人間としての生き方を感じました。私たち学生は「就職がゴール」になりがちですが、大牟禮氏の話を聞いて、就職はあくまで人生の通過点であり、その先に自分なりの課題を見つけることが本当の意味での「キャリア」なのだと気づかされました。同時に、理想論だけでなく「まず食える状態を作れ」という現実的なアドバイスもいただけたことで、地に足のついた視点を持つことができました。

AI時代を生き抜く——「ホワイトカラーより現場」という逆説的アドバイス

取材の終盤、就職活動中の学生へのアドバイスを求めると、大牟禮氏は明確な答えを示しました。「今だと完全にAI。なぜなら、年を取った人にアドバンテージが取れるから」

大牟禮氏が起業した2006年は、ちょうどインターネットバブルの時期でした。当時、何もできないままWeb広告やWeb制作の会社に入り、そこでスキルを身につけた同級生たちが、今では非常にいいキャリアを歩んでいるといいます。社会にまだ知見が溜まっていない分野に若い人間が入っていけば、上の世代と同じ土俵で戦わなくて済む。それが20年間続いたのです。

「それぐらいのすごいパラダイムシフトが今起きている」と大牟禮氏は断言します。自身も毎日1時間をAI情報収集に充て、Claude(クロード)と対話し続けているといいます。

しかし、AI関連企業への就職については慎重な見解を示しました。「今学生の皆さんが入るAI企業って残るかな」という疑問です。多くのAIサービスは、結局ChatGPTやClaudeなどの大手プラットフォームに集約されていく可能性が高い。AI電話サービスなども同様で、大手が同じ機能を実装すれば、スタートアップは淘汰されていくだろうと分析します。

AIがホワイトカラーの仕事を代替していく中で、フィジカルな現場仕事の価値は相対的に上がっていく。「現場ができて、そこにうまくAIを活かせる人の価値が上がる」という見立てです。

建設会社に入って、仕様書や設計図をAIで書けるようになれば、年配の社員には太刀打ちできない強みになる。LLM(大規模言語モデル)を作る側ではなく、それを現実の現場に落とし込む側に回ることが、多くの学生にとっての最適解かもしれません。

◾ 取材担当:学生団体GOATの感想

「ホワイトカラーより現場」というアドバイスは、正直意外でした。学生の多くは、オフィスワークを目指しがちです。しかし、AI時代においては「体を使う仕事」の価値が相対的に上がるという指摘は、非常に説得力がありました。また、AI企業への就職についても「残るかな」と冷静に分析されていたのが印象的です。流行りの業界に飛びつくのではなく、自分がどの立ち位置で勝負するかを考えることの重要性を学びました。AIを「作る側」ではなく「使いこなす側」で勝負する、という視点は今後のキャリア選択の大きなヒントになります。

学生へのメッセージ——コスパを追いすぎると人生はつまらなくなる

最後に、大牟禮氏から就職活動中の学生へのメッセージをいただきました。

「コスパみたいなことを考えすぎると、人生はどんどんつまらなくなる。自分なりの課題が見つかるといいですよね」

お金を稼げればOKでもない。楽であればOKでもない。人生の難しさはそこにあると大牟禮氏は語ります。効率を追い求めるだけでは、生きている実感は得られない。だからこそ、自分が夢中になれる課題を見つけることが大切なのです。

ただし、その課題に向き合えるようになるには、まず「自分は食いっぱぐれない」という確信が必要です。「とりあえず就職して、何年かの間に力をつけて、『もう自分は食える』というところにまず達することが大事。それは人生の課題を見つけるためにも大事なこと」というアドバイスは、理想と現実のバランスを示していました。

AI時代においては、とにかくAIに触れ続けることが重要です。「年を取った人にアドバンテージが取れる」分野に身を置くことで、キャリアの可能性は大きく広がります。そして、ホワイトカラーよりも現場。フィジカルな仕事にAIを掛け合わせられる人材こそが、これからの時代に求められる存在なのです。

◾ 取材担当:学生団体GOATの感想

今回の取材を通じて、経営者としての視座の高さと、人間としての深い人生観に触れることができました。「課題に夢中のまま死にたい」という言葉は、就職活動で「条件」ばかりを見ていた自分に大きな気づきを与えてくれました。また、「まず食えるようになれ」という現実的なアドバイスと、「コスパを追いすぎるな」という理想論が矛盾なく同居している点にも、大牟禮氏の経営者としての深みを感じました。介護業界に限らず、すべての業界を目指す学生にとって、大牟禮氏の言葉は道標になるはずです。