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【株式会社ふみこ農園】社員と家族を守るために選んだ社長の道

2026年09月30日

株式会社ふみこ農園

【株式会社ふみこ農園】社員と家族を守るために選んだ社長の道

◇企業紹介◇

株式会社ふみこ農園は、昭和25年創業の麺製造業「ナルト製麺所」を母体に、平成8年に和歌山県で創業した食品ギフト専門企業です。梅うどんと梅干しのセット販売からスタートし、現在では楽天市場やAmazonを中心としたEC事業、百貨店・カタログギフト向けの卸売事業、そしてOEM事業の3本柱で展開しています。2019年には楽天市場「ショップ・オブ・ザ・イヤー」スイーツ部門を受賞。「和歌山ポンチ」をはじめとする自社ブランド商品で、全国のお客様に「贈る人の想い」を届け続けています。今回は、2026年1月に代表取締役に就任した成戸晃子社長に、学生団体GOATの石嵜がお話を伺いました。創業家の長女として生まれ、「継ぐつもりはなかった」という成戸社長が、なぜ社長を引き継ぐ決断をしたのか。その背景には、社員と会社を守るための覚悟がありました。

「会社を守るために、私が継ぐ」

長年、ふみこ農園は創業者である母の強力なリーダーシップのもとで成長してきました。

創業者の長女である成戸社長は、当時をこう振り返ります。 「母の体調の変化などをきっかけに、会社の将来や社員の雇用について考える機会が増えました。経営体制についてさまざまな意見が出る中で、長年一緒に働いてきた社員と会社を守りたいという思いが強くなり、『だったら私が継ぎます』と決断したんです」

シングルマザーとして息子さんを育てながら、当初はこれほど大きな責任を負うことに戸惑いもあったという成戸社長。それでも、大切な社員たちを守るために、2026年1月、正式に代表取締役に就任したのです。「自分に務まるのかという不安もありました。でも、会社や社員たちの生活が守られなくなるくらいなら、私がやるしかない」という覚悟の決断でした。

◾ 取材担当:石嵜の感想

会社の未来と社員を守るために社長を引き受けるという決断は、並大抵の覚悟ではできないと感じました。当初は「自分が継ぐとは思っていなかった」という成戸社長が、社員のために立ち上がった姿には胸を打たれました。「誰かを守りたい」「より良い会社にしていきたい」という思いから生まれる行動もまた、キャリアを切り拓く原動力になるのだと気づかされました。自分が将来どんな責任を引き受けられる人間になりたいか、考えるきっかけになりました。

「役職の違いは仕事内容の違いだけ」——20代の新入社員にも意見を求める経営姿勢

成戸社長が大切にしているのは、「役職は立場の上下ではなく、役割の違いである」という考え方です。 「たとえば、私が1週間ずっと出荷場に一人で入りきりになってしまったら、会社全体の業務は回りません。一方で、心を込めて荷造りをしてお客様に商品をお届けする出荷作業も、会社にとって非常に重要な仕事です。だからこそ、役職の違いは単なる役割の違いに過ぎないんだよ、と社員には伝えています」。

この姿勢は、若手社員の意見を積極的に取り入れることにも表れています。 「入社してすぐの社員の言葉にも、しっかりと耳を傾けたい。それが会社にとって良い提案であれば、柔軟に変えていきたい」と成戸社長は語ります。「私一人の知識や視点には限界があります。だからこそ、いろんな人の意見を聞き、多様な考えを取り入れたいのです」――このフラットで謙虚な姿勢が、社員との厚い信頼関係を築いています。

また、先日策定された企業理念にも、成戸社長の想いが込められています。 「社員のみんなとは、家族と過ごす時間よりも長く一緒にいます。だからこそ、共に働く仲間として、お互いを尊重し合える環境でありたい。その代わり、会社は必ず社員と、そのご家族の生活を守り抜く、と約束しました」。この「相互尊重」の精神が、ふみこ農園の新しい社風として深く根付き始めています。

◾ 取材担当:石嵜の感想

「自分一人の視点には限界があるからこそ、みんなの意見を聞きたい」という言葉に、真のリーダーシップを感じました。自分の不足を素直に認め、周囲の知恵を借りることができる人だからこそ、社員の強みを最大限に引き出せるのだと思います。就活では「人を引っ張るリーダー経験」をアピールしがちですが、成戸社長のような「聴く力」「認める力」もまた、組織を動かし、人を活かすための大切な資質なのだと深く学びました。

通販・卸・OEM の3本柱。「売上より内容のいい会社」を目指して

ふみこ農園の事業は、EC通販、卸売、OEMの3本柱で構成されています。2019年に楽天市場で「ショップ・オブ・ザ・イヤー」を受賞したことをきっかけにAmazonからもオファーが届くなど、コロナ禍でEC事業は大きく成長しました。しかし、成戸社長は「ただ売上規模を拡大すればいいとは思っていない」と語ります。

「売上よりも、中身が伴う質の高い会社、しっかりと利益を生み出せる会社にしていきたい」――この方針のもと、広告費の費用対効果を毎月細かく検証し、無駄を省いた堅実な経営を心がけています。また、OEM事業では大手ハイブランドの店舗で提供されるドリンクの製造を任されるなど、自社ブランドの枠を超えた展開も行っており、その高品質な製品力には確かな自信を持っています。

さらに、今後は海外展開にも力を入れていく方針です。「先日、20歳の若手社員を新しく営業スタッフとして迎え、現在さまざまなことを吸収してくれています」。TikTokを活用したプロモーションなども開始予定で、「こうした新しいSNSの活用などは、柔軟な発想を持つ若い世代にどんどん任せていきたい」と、次世代への大きな期待を語ります。

◾ 取材担当:石嵜の感想

「ふみこ農園」という名前が表に出ないOEM製品であっても、その品質の高さで選ばれているという事実が、企業としての確かな実力を物語っていると感じました。また、「売上よりも中身の質を重視する」というお考えは、短期的な成果を追いがちな現代においてとても新鮮でした。就活においても、規模や給与といった目に見える数字ばかりに目が行きがちですが、会社の「中身」――理念や社員同士の関わり方、成長できる環境――をしっかりと見極める視点を持つことが大切なのだと気づかされました。

学生へのメッセージ——「やらされる仕事」ではなく「やりたい仕事」を見つけてほしい

最後に、成戸社長から就活生へのメッセージを伺いました。 「私から立派なアドバイスはできませんが、大学生の娘と高校生の息子を持つ親として、今の若い方たちを見ていて感じることがあります」と、成戸社長は語ります。 「今の若い世代は本当にしっかりしていますよね。私たちが学生の頃は、大学に入ったらまずは遊びたいという気持ちもありました。でも、今の学生さんたちは自分の将来をしっかりと考え、広い視野で世界を見ている。本当にすごいなと感心しています」。

そして、「やらされる仕事ではなく、やりたい仕事を見つけてほしい」と力を込めます。 「人にやらされる仕事はしんどいだけですが、自分が『これをやりたい』と思って取り組む仕事は、どんなに忙しくても楽しいものです。だからこそ、学生のうちにいろんな経験をして、そういう仕事を見つけてほしい。失敗してもいいんです。その失敗が、必ず次のチャレンジのきっかけになりますから。社会人になると長期の休みはなかなか取れなくなります。今のうちに自分のやりたいことに挑戦し、さまざまな人との繋がりを作ってください」。

そして最後に、こう締めくくりました。 「私は社員たちにも、ふみこ農園を『ここで働きたい、この仕事が楽しい』と思えるような職場にしていきたいと伝えています。良い会社を創るのは、やはり『人』です。良い人材が集まり、育ってくれる会社が一番強いと思っています」。

◾ 取材担当:石嵜の感想

「やらされる仕事」と「やりたい仕事」の違いについてのお話は、私自身の心にも深く刺さりました。就活ではつい「内定を取ること」がゴールになりがちですが、本当に大切なのは「この仕事を自分からやりたいと思えるか」なのだと改めて気づかされました。成戸社長のように社員を信じ、温かく見守ってくれる経営者のもとであれば、きっと自分なりの「やりたい仕事」を見つけやすいのだと思います。今日の取材を通じて、「何をしたいか」だけでなく、「誰と働きたいか」を考えることの大切さを学ぶことができました。