株式会社ひまわりは、福祉用具のレンタルおよび販売、住宅改修事業、障がい者福祉事業、児童福祉事業などを幅広く展開している企業です。「介護する人、される人の『あったらいいな』にチームと仕組みでこたえます」というコンセプトのもと、単なる福祉用具の提供にとどまらず、利用者の生活環境をトータルでサポートしています。身体的な介護を直接行う施設とは異なり、株式会社としての機動力を活かしながら、高齢者やそのご家族が住み慣れたご自宅で安心して暮らせる社会づくりに貢献しています。

◇金融業界から福祉の世界へ。未経験からの挑戦と社長就任◇
私は前職で、約17年間にわたり金融機関に勤務しておりました。金融の仕事にももちろんやりがいはありましたが、個人の役に立ち、直接お客様から「ありがとう」と言っていただけるような仕事に以前から強く興味を持っていました。そんな折、同級生から当社の事業に誘われました。当初はまだ前職でやり残したことがあったため断っていたのですが、5年ほど経って「やり切った」と思えるタイミングが訪れたため、新しいチャレンジとして福祉業界への転職を決意いたしました。
入社当初は財務・経理の担当として配属されましたが、全く畑違いの仕事であり、専門知識はゼロからのスタートでした。そのため、仕事終わりに大原簿記学校へ通い、必死に経理の勉強をしました。金融機関時代は出来上がった数字を見る側でしたが、自ら数字を作る側になり、最初は戸惑うことも多くありました。しかし、誰も頼る人がいない環境で「自分がやらなければならない」という状況だったため、結果的に早く業務を身につけることができたと感じています。
現在、私は2代目の社長を務めていますが、これは親族の世襲ではありません。一人のプロパー社員として入社し、そこから社長に就任いたしました。中小企業では世襲制が多いかもしれませんが、当社には社内で実力を身につけた人間が次のリーダーになれるというフラットな環境があります。
◾ 取材担当:東島の感想
金融機関から全く未経験の福祉業界へ、しかも経理を一から学び直すという決断力と努力に驚かされました。近畿大学の経営学部で学んでいる私ですが、知識だけでなく、現場で必死に学ぶ姿勢こそが成長に繋がるのだと実感しました。また、同級生の誘いを5年越しに受けるというエピソードからは、社長のお人柄や信頼関係の深さが伺えます。就職活動を控える私も、趣味のカメラを持って多様な人と出会いながら、人とのご縁を大切にする働き方を模索していきたいです。

◇プレイングマネージャーからの脱却。社員の成長を見守る組織づくり◇
入社当初の私は、自分が先頭に立って動くことで仕事を進めていました。何かあれば自分がやった方が早い場面も多く、ついつい手を出してしまうことが多かったように思います。しかし現在では、「自分がどれだけ仕事をしないか」を意識し、社員が自律的に動けるようにサポートすることに注力しています。
もちろん、仕事を任せるということは、それに伴う結果に責任を持つということです。社員に任せた仕事で何か問題が起きた際には、全て自分が責任を取るという覚悟を持っています。その覚悟を持った上で、手を出したい気持ちをグッと我慢し、彼らが自ら考え行動できるよう見守り続けることが、昔と今で私自身が経営者として最も大きく変わった部分です。
また、組織運営においては、高い業績や売上目標が「本来の目的」にすり替わってしまわないよう常に注意を払っています。私たちの真の目的は、企業理念にもある通り「お客様に喜ばれることが自分たちの幸せにつながるという利他の喜びの精神で事業を行うこと」です。数字だけを追うようになると、組織は違う方向へ進んでしまいます。そのため、ブレることなく同じ方向を向いて仕事ができるよう、理念の重要性を社員に繰り返し伝え続けています。
◾ 取材担当:東島の感想
「自分がどれだけ仕事をしないかを意識する」という言葉の裏には、社員への深い信頼と、失敗をカバーするリーダーとしての覚悟があるのだと学びました。私が所属する学生団体でも、後輩に任せることの難しさを感じることがあるので、この「見守る力」は非常に参考になります。心の余裕を持ち、目先の数字や結果だけでなく「何のために活動しているのか」という根本の理念を大切にする姿勢を身につけたいです。

◇株式会社ひまわりの仕事:モノではなく「快適な暮らし」を提案する◇
当社の主な事業は、介護用のベッドや車椅子といった福祉用具のレンタル・販売と、介護に特化した住宅改修です。しかし、私たちの仕事は単に「物を貸す」「家を直す」ことではありません。お客様は、ご自身がどのような用具を使えば生活が楽になるのか、専門的な知識を持っていらっしゃらないことがほとんどです。
だからこそ、高齢者の方やご家族がご自宅で「何に困っているのか」を丁寧にヒアリングすることが最も重要になります。例えば、若い頃は全く気にならなかった1cmの段差が、お年寄りにとっては重大な転倒リスクになります。そうした潜在的な困りごとを対話の中から引き出し、手すりの設置や最適な福祉用具の活用をご提案していくのが私たちの役割です。
つまり、当社の事業は「モノの提供」ではなく、「人と人とのコミュニケーション」によって成り立つ事業なのです。相手の真のニーズを汲み取り、専門知識を持って解決策を提示する。社員一人ひとりがこの対話を何よりも大切にしているからこそ、お客様から心からの「ありがとう」というお言葉をいただけるのだと確信しています。
◾ 取材担当:東島の感想
福祉用具のレンタルと聞くと、ただ指定されたモノを運ぶだけと想像していましたが、実際は「お客様の生活の悩みを解決するコンサルティング」なのだと気づかされました。私は人とコミュニケーションを取ることが得意ですが、ただ楽しく会話するだけでなく、相手の潜在的なニーズを引き出すヒアリング力がビジネスにおいて不可欠なのだと学びました。AIが進化する現代でも、こうした人と人との温かい対話は絶対に代替できない価値だと強く感じます。

◇今後のビジョンと学生へのメッセージ:リアルな繋がりから自分を知る◇
今後の会社のビジョンとしては、むやみに新しい地域へ店舗を拡大することは考えておりません。それよりも、現在展開している姫路から大阪・阪神間という地域にしっかりと根を下ろし、「介護で困ったらひまわりさんに相談しよう」と言っていただけるような、地域における圧倒的な信頼を築くことが目標です。従業員をしっかりと育成し、将来的にまた社内から新しい社長が育つような、強い組織を作っていきたいと考えています。
最後に、これから社会に出る学生の皆さんに伝えたいのは、「様々な年代の人と直接会って話すこと」の重要性です。現代は画面越しで多くの情報を得られる時代ですが、実際に足を運び、対面で多様な価値観を持つ人々と触れ合うことで、初めて「自分がどういう人間なのか」に深く気づくことができます。
私の知人に、トップクラスの成績を納める営業マンがいます。彼は学生時代、毎日自分の名刺を持ち歩き、「1日1枚、必ず初対面の人に渡して会話する」という活動を4年間欠かさず続けたそうです。その時の出会いが、現在の彼の大きな財産になっています。若い皆さんが年上の懐に飛び込んでいって、嫌な顔をする大人はほとんどいません。就職活動や将来に悩んだら、まずはリアルなコミュニケーションを通じて繋がりを作り、自分自身を見つめ直す機会を作ってみてください。
◾ 取材担当:東島の感想
「画面越しではなくリアルな繋がりを」というメッセージは、デジタルネイティブである私たち世代に深く刺さりました。知らない人に名刺を渡すというトップ営業マンのエピソードは極端かもしれませんが、それくらい自ら行動して多様な価値観に触れることが、自分の人生を豊かにするのだと思います。来春からの社会人生活では、恐れずに色々な年代の方の懐に飛び込み、現場でのリアルな対話を大切にしながら自分自身を成長させていきたいと思います。