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【株式会社ティーアイ】「閉鎖的な業界を変えたい」肉の魅力に取り憑かれた男の33年間の挑戦

2026年06月02日

株式会社ティーアイ

【株式会社ティーアイ】「閉鎖的な業界を変えたい」肉の魅力に取り憑かれた男の33年間の挑戦

◇企業紹介◇

株式会社ティーアイは、1993年創業、大阪府に本社を置く食肉卸売業の企業です。ホテルやレストランなど外食産業向けに高品質な牛肉を提供し、創業から33年間、業界の常識を覆す新しい取り組みに挑戦し続けてきました。現在は約40名の従業員を擁し、「100億企業」を目指した10年計画を掲げています。今回は代表取締役の相崎秀樹社長に、学生団体GOATの石崎がお話を伺いました。幼少期にビーフステーキの美味しさに衝撃を受け、食肉業界に飛び込んだ相崎社長。閉鎖的な業界の中で、どのようにして仲間を増やし、会社を成長させてきたのか。その軌跡と、若者へのメッセージをお届けします。

「こんな美味しい食べ物があるのか」幼少期の衝撃が人生を決めた

相崎社長が食肉業界に入るきっかけは、幼少期に遡ります。当時、牛肉を食べる機会は今ほど多くなく、外食でステーキを食べられる店も限られていました。そんな時代に初めて口にしたビーフステーキの味が、少年の心を捉えて離しませんでした。

「幼少期にビーフステーキを食べた時に、『あ、こんな美味しい食べ物があるのか』というのが、お肉に興味を持ったきっかけなんです」

この原体験から、相崎社長は「ステーキハウスを開きたい」「お肉を扱うお店をやりたい」という夢を抱くようになります。そして、その夢を実現するために選んだのが、調理師の道でした。岐阜県出身の相崎社長は、京都の調理師学校に進学。関西での生活がここから始まります。

しかし、調理師として働く中で、相崎社長はある壁にぶつかります。「お肉を扱う以上、お肉のことを知らないとダメだ」という気づきです。料理を作る技術だけでは、本当に美味しいお肉を提供することはできない。そう感じた相崎社長は、食肉会社でアルバイトを始めます。この決断が、その後の人生を大きく変えることになりました。12年間、食肉会社で修業を積みながら、お肉の知識と技術を磨いていった相崎社長。32歳の時、ついに独立を決意し、株式会社ティーアイを創業します。

◾ 取材担当:石崎の感想

幼少期の「美味しい」という純粋な感動が、人生の軸になっているというお話に胸を打たれました。多くの就活生は「何がやりたいか分からない」と悩みますが、相崎社長のように、子どもの頃に感じた「好き」や「感動」を大切にすることが、キャリアの原点になるのかもしれません。また、調理師を目指しながらも「お肉を知らないとダメだ」と気づき、食肉会社で12年間修業されたという柔軟さにも学ぶものがあります。夢への最短距離だけが正解ではなく、回り道に見える経験が、後に大きな武器になることを教えていただきました。

「誰でもやる仕事ではなかった」閉鎖的な業界に挑んだ創業期

1993年、32歳で独立した相崎社長。しかし、食肉業界での創業は、想像以上に困難を極めました。その理由は、この業界が持つ歴史的な背景にあります。

「この食肉業界というのは、非常に閉鎖的な業界なんです。誰でも就ける職業ではなかった歴史がある中で、どうしても閉鎖的な業界なんです。

この閉鎖性は、創業時の仕入れにも大きな影響を与えました。新参者が簡単に取引先を見つけられるような世界ではなく、既存の人脈やコネクションがなければ、商売を始めることすら難しかったのです。相崎社長は文字通り1人でスタートを切りました。

さらに、創業後も業界全体を揺るがす危機が次々と訪れます。1996年に発生したO157食中毒事件、2001年のBSE(牛海綿状脳症)問題。これらは食肉業界にとって、まさに「逆風」そのものでした。消費者の牛肉離れが進み、多くの業者が廃業を余儀なくされる中、相崎社長は歯を食いしばって事業を続けました。

「本当にこの業界にとって逆風が吹くような出来事が、定期的に起こってましたから、そういうのを乗り越えるのが本当に大変だったなと、今は思ってます」

しかし、相崎社長には揺るがない信念がありました。それは、「新しい感覚でこの業界を変えたい」という思いです。閉鎖的な慣習に縛られず、新しいことに挑戦し続ける。その姿勢が、数々の危機を乗り越える原動力となりました。

◾ 取材担当:石崎の感想

業界の歴史的背景まで踏み込んでお話しいただいたことで、食肉業界の特殊性を初めて知りました。就活では「業界研究」が重要と言われますが、表面的な情報だけでなく、その業界が歩んできた歴史や、抱える課題を知ることの大切さを実感しました。また、O157やBSEといった業界全体の危機を乗り越えてきた経験は、コロナ禍を経験した私たち世代にも通じるものがあります。予測できない危機に直面した時、「それでも続ける」という覚悟が、事業を守る唯一の方法なのかもしれません。

「最後まで大切にしたい」創業期から共に歩む仲間への思い

創業から33年。株式会社ティーアイは現在、約40名の従業員を抱える企業へと成長しました。1人で始めた会社が、これほどまでに成長できた背景には、相崎社長の「人」に対する深い思いがあります。

「どんな会社かも、ちゃんと続く会社かも分からないところに、ついて来てくれた仲間。本当に感謝の気持ちと、彼らを最後まで大切にしていきたいなという社員に対する気持ちは、今も変わらずずっと思っています」

相崎社長にとって、創業期から共に歩んできた社員は「家族」のような存在です。まだ何の実績もない会社を信じて飛び込んできてくれた彼らへの感謝は、33年経った今も色褪せることはありません。この思いは、会社の経営方針にも反映されています。相崎社長は、急激な拡大よりも、着実な成長を重視してきました。

「最初から背伸びすることなく、自分ができることを、という流れの中で仕事に取り組んできた」

無理な拡大は、必ずどこかにしわ寄せがいく。特に、それが社員の負担になることは避けたい。そんな思いが、相崎社長の経営哲学の根底にあります。現在、ティーアイでは部長職の社員も、創業初期から会社を支えてきたメンバーが務めています。長年にわたって信頼関係を築いてきた仲間たちと共に、会社の未来を描いていく。それが、相崎社長が大切にしている経営のスタイルです。

◾ 取材担当:石崎の感想

「家族のような存在」という言葉が、社交辞令ではなく本心から出ているのが伝わってきました。就活では、企業の「人を大切にする」という言葉をよく目にしますが、それが本物かどうかを見極めることが重要だと感じます。相崎社長の場合、創業期から33年間、同じメンバーがついてきているという事実が、その言葉の真実性を証明しています。私たち就活生も、「この会社は本当に人を大切にしているのか」を、具体的なエピソードや数字から判断する目を養う必要があると思いました。

「息子の帰還」で始まったSNS戦略と100億企業への挑戦

33年の歴史を持つ株式会社ティーアイが、今、新たな挑戦に踏み出しています。その象徴が、InstagramやTikTokを活用したSNS戦略です。食肉の知識や調理法を分かりやすく発信する動画は、多くのフォロワーを獲得。閉鎖的と言われる食肉業界において、異例の取り組みとして注目を集めています。

「恥ずかしい話、私の年代になるとなかなかそういうのに入り込めない部分があって、今まで色々チャレンジしたんですけど、なかなか続かなかったのが現状でした(笑)」

転機となったのは、2年前のこと。相崎社長の長男が会社に戻ってきたことでした。現在30歳になる息子さんが、SNS戦略の中心となって発信を担当。その結果、フォロワー数は一気に増加し、「勉強になる」「知らなかったことがいっぱいあった」という反響が寄せられるようになりました。

そして、相崎社長が掲げる次なる目標は「100億企業」です。2024年から10年計画でこの目標達成を目指し、様々な施策に取り組んでいます。

「現状の商売だけでは100億というのは難しいというのも十分分かっていますから、ギフト関係もそうですし、いろんな分野に販路を広げていかないとダメです。お肉を売るだけじゃなくて、加工したものとか、新商品とか、アイデアを折り混ぜたような商品を開発しながら進んでいきたい

大学や他企業とのコラボレーション、オンラインショップの展開、一般消費者向けのギフト商品開発。これまでのBtoB(企業間取引)中心のビジネスモデルから、BtoC(消費者向け)への展開も視野に入れています。33年間培ってきた技術と信頼を武器に、新しい市場を切り拓こうとしている株式会社ティーアイ。その挑戦は、まだ始まったばかりです。

◾ 取材担当:石崎の感想

60代の社長と30歳の息子さんが、同じ会社で新しい挑戦に取り組んでいる姿に感銘を受けました。世代の違いを「壁」ではなく「強み」に変えている点が印象的です。また、「100億企業」という具体的な数字と10年という期限を掲げていることも、経営者としての本気度を感じます。私たち就活生にとっても、「具体的な目標を持つ」「期限を設ける」ことの重要性を教えていただきました。SNSという新しいツールを、年齢を言い訳にせず取り入れる柔軟性も、見習いたいポイントです。

学生へのメッセージ:「後悔はしないで。反省は次につながる」

最後に、相崎社長から就活を控える学生たちへメッセージをいただきました。33年間の経営者人生で培った経験から語られる言葉には、深い説得力があります。

「私自身1番思うのは、この『出会い』。人との出会いというのが1番の宝であり、大切なことかなという風に思うんですよね。本当に人との出会い、そこを大切にするのが1番」

相崎社長自身、アルバイト先での出会いが食肉業界への入り口となり、創業期に集まってくれた仲間との出会いが会社の礎となりました。人との出会いを大切にすることが、人生を豊かにする最も確実な方法だと、相崎社長は語ります。

そして、若いうちにすべきこととして、「経験」の重要性を強調されました。

「若いうちは、今できることを何でも経験してほしいなと。経験が財産になる、将来の財産になってくるのかなという風に思ったりします。お金以上に、お金で買えない経験というものをいっぱいすることが、将来それが何倍にもなって返ってくるんじゃないかなと」

サークル活動、旅行、アルバイト。何でもいいから、人と出会いながら様々な経験を積んでほしい。それが、相崎社長からのメッセージです。そして最後に、心に残る言葉をいただきました。

「色々反省はするべきかなという風に思うんですよね。ただ、後悔はあまりしてほしくないです。後悔したら、もう先につながらないので。反省することによって、また次の展開になったり、先につながるはずです。失敗を恐れずに、いろんな経験をしていただけたらいいのかなと思います。

反省と後悔の違い。それは、「次に活かすかどうか」です。失敗しても、そこから学びを得て次に進めば、それは「反省」であり、成長の糧となる。しかし、「あの時こうしていれば」と過去に囚われ続けるのは「後悔」であり、前に進む力を奪ってしまう。33年間、数々の困難を乗り越えてきた相崎社長だからこそ語れる、重みのある言葉でした。

◾ 取材担当:石崎の感想

「反省はするけど、後悔はしない」という言葉が、今回の取材で最も心に残りました。就活では、面接で失敗したり、志望企業に落ちたりすることもあります。その時に「後悔」ではなく「反省」として次に活かせるかどうかが、その後のキャリアを左右するのだと感じました。また、「お金で買えない経験」を積むことの重要性は、学生時代にしかできないことへの背中を押してくれる言葉です。相崎社長のように、若い頃の経験が33年後の経営に活きている例を聞くと、今の自分の行動一つひとつが、未来の自分を作っているのだと実感しました。同じ大阪で活躍される相崎社長との出会いに感謝し、今後も学生団体GOATとして、何かお力になれる機会があればと思っています。