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【株式会社紅梅園】「梅干し屋の社長が、実は梅干し苦手なんです」逆境を武器に変える挑戦

2026年07月06日

株式会社 紅梅園

【株式会社紅梅園】「梅干し屋の社長が、実は梅干し苦手なんです」逆境を武器に変える挑戦

◇企業紹介◇

株式会社紅梅園は、和歌山県で梅の加工食品を手がける老舗企業です。梅干しをはじめ、梅グラッセや梅コンポート、梅ゼリーなど多彩な梅スイーツを展開し、数々の品評会で受賞歴を誇ります。今回は代表取締役の櫨原(はぜはら)様に、学生団体GOATの取材担当がお話を伺いました。「梅干し屋なのに梅干しが苦手」という意外なエピソードから、若者への健康メッセージ、そして海外展開への挑戦まで、梅の可能性を広げ続ける経営者の熱い想いに迫ります。

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「継ぐのが当たり前」だった。深い理由なく始まった経営者人生

櫨原社長が紅梅園を継いだきっかけは、意外にもシンプルなものでした。「梅干し屋になったきっかけって、特に何も考えてなかったんですよ」と社長は語ります。幼い頃から父親がこの梅干し屋を営んでいたため、継ぐことは「当たり前」だったのです。

「自分がちっちゃい頃からうちの親父がこの紅梅園をやっていたので、もう当たり前にやるもんやみたいな感覚がずっとあって。だからなんでしようと思ったとか、葛藤したとかは何もなくて、まあやるんやろうなみたいなのがずっとあったんです」

特別な志や明確なビジョンがあったわけではない。他にやりたいことがあったわけでもない。ただ、父の背中を見て育ち、自然とその道に進んだ。しかし、仕事を始めてから梅の奥深さを知り、その価値に目覚めていくことになります。

「梅っていうのを知っていってみて、梅ってめっちゃ大事なんだ、みたいなのが分かってきた」と社長は振り返ります。入社当初は何も知らなかった梅の世界。しかし、その健康効果や歴史、日本人との深い関わりを学ぶうちに、この仕事の意義を強く感じるようになったのです。

◾ 取材担当の感想

「特に深い理由はなかった」という言葉は、一見するとネガティブに聞こえるかもしれません。しかし、私はそこに正直さと誠実さを感じました。大切なのは、始めた後にどれだけその仕事の価値を見出し、自分のものにしていけるか。社長の姿勢から、キャリア選択の本質を学んだ気がします。

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「体に入ったら強烈なアルカリ性」梅の健康効果に目覚めた瞬間

梅干しといえば、誰もが知る日本の伝統食品です。しかし、その健康効果を正しく理解している人は少ないかもしれません。櫨原社長は、梅の持つ驚くべき力について熱く語ってくれました。

「梅って、酸性かアルカリ性かどっちだと思います?」と社長は問いかけます。酸っぱい味から「酸性」と答える人がほとんどでしょう。しかし実は、体内に入ると強烈なアルカリ性になるのです。

「若い方の食生活って、大体好きなものを挙げていくと、お肉とかラーメンとかケーキとか、全部酸性食品なんですよ。アルカリ性食品って何やって言ったら、野菜とか梅とか、あんまり好んで食べるようなものじゃない。だから体が酸化していってしまうんです」

体の酸化は、老化や病気の原因になると言われています。若いうちは感じにくくても、年齢を重ねるとその「しっぺ返し」がやってくる。現代の若者に増えているアレルギーや体調不良も、食生活の乱れが一因かもしれません。

「梅っていうのは、酸性に偏ってる体内を強烈に中和する作用がある。だから若い方にも本当に食べていただきたいんです」

クエン酸による血液サラサラ効果、抗酸化作用、そしてアルカリ性による体内バランスの調整。梅の健康効果を知れば知るほど、社長はこの仕事の使命感を強くしていったのです。

◾ 取材担当の感想

正直、梅干しがアルカリ性食品だとは知りませんでした。酸っぱいから酸性だと思い込んでいた自分の無知を恥じると同時に、こうした「知られていない価値」を伝えることの重要性を実感しました。社長の言葉を聞いて、もっと意識的に梅を取り入れようと思いました。

「価格が上がっても、若い人に届けたい」原価高騰との闘い

梅スイーツという新たな武器を手に、若者層への訴求を目指す紅梅園。しかし、ここ数年は厳しい現実に直面しています。梅の不作が3年以上続き、原材料価格が急騰しているのです。

「せっかく若い方に食べていただきたいと思っても、なかなかそんな高いものは買ってもらえない。そこが今すごく辛いんですよ」と社長は苦しい胸の内を明かします。

若いうちに食べたものは、一生の食習慣になる。だからこそ、お子さんにも梅を食べてもらえるような商品を作りたい。しかし、梅の原価が高騰し、あらゆるコストがインフレで上昇する中、安価での提供が難しくなっています。

結果として、現在のメイン購買層は50代から60代の女性が中心。「理想まで辿りつけていないんです」と社長は率直に語ります。

それでも、諦めるわけにはいきません。農業従事者の減少により、梅を栽培する農家自体が少なくなっている。紅梅園は加工会社であり、契約農家から梅を仕入れています。梅がなければ商品は作れない。しかし、今から自社で農業を始めるのは現実的ではない。

「とにかくうちはスイーツに特化していこうと決めています。それがうちの武器だから」

限られたリソースの中で、自社の強みに集中する。そして、日本だけでなく海外市場への展開も視野に入れています。

◾ 取材担当の感想

理想と現実のギャップに苦しみながらも、諦めずに前を向く姿勢に胸を打たれました。経営者は常に順風満帆ではない。外部環境の変化に翻弄されながらも、自社の強みを見極め、集中投資する判断力が求められる。就活生として、企業を見る際には「どんな困難に直面し、どう乗り越えようとしているか」という視点も大切だと学びました。

「まず口に入れてもらわないと」海外展開への挑戦と地道な戦略

梅スイーツという武器を持って、紅梅園は世界への挑戦を始めています。しかし、その道のりは決して平坦ではありません。

「アジアの方だったら梅自体は知ってるんですけど、そこから外に出ると、あんまり梅は知られていない。梅は知ってるけど、梅のスイーツなんて見たことないしみたいな反応なんです」

知名度ゼロの状態から、いきなり一般消費者に売り込むのは難しい。そこで社長が選んだのは、業務用ルートからの攻略でした。

「例えば梅グラッセを、コース料理の最後のデザートプレートにちょっと乗せてもらう。そこでまず食べてもらって、『これは何?』『日本の梅というものです』という会話が生まれる。まず口に入れてもらわないと、何かっていうところから説明しなきゃいけないので、相当ハードルが高いんです」

インバウンドで日本を訪れた外国人観光客が、SNSで発信することで認知が広がっている面もあります。しかし、それだけに頼るわけにはいきません。地道に、一皿一皿、一口一口から始める。

「梅干しだけやってたら、どうやっても日本の方がターゲットになる。でもスイーツなら、今まで梅を食べてこなかった層もターゲットにしていける。可能性は相当あると思います」

普通の梅干しメーカーにはできない挑戦。梅干しが苦手だからこそ見えた、新しい市場の可能性。紅梅園の挑戦は、まだ始まったばかりです。

◾ 取材担当の感想

海外展開というと華やかなイメージがありますが、実際は地道な積み重ねの連続だと知りました。まず知ってもらう、まず食べてもらう、まず興味を持ってもらう。その一歩一歩を大切にする姿勢は、就活においても同じだと思います。いきなり大きな成果を求めるのではなく、小さな接点から信頼を築いていく。そんな姿勢を学ばせていただきました。

学生へのメッセージ

最後に、櫨原社長から就活生へのメッセージをいただきました。

「やっぱり若い頃は何でもできるんで、無敵な気持ちになるんですけど、必ずしっぺ返しは来るんです。若いうちからちょっとでも食生活に気をつけてほしい。梅も大事なんですけど、梅酢とかは結構安く売ってたりするので、料理にちょっとずつ入れて使ってみてほしいですね」

そして、もう一つ。社長が強く勧めるのは、海外経験です。

「若い時にできる体験ってやっぱりすごく視野を広げてくれる。日本だけの小さなところで物事を見てるより、世界を見てほしい。特に新興国とかを見てほしくて。僕もすごい好きで色々行ってたんですけど、絶対に自分の視野が広がります。」

円安で海外旅行のハードルは上がっています。しかし、バイトでお金を貯めてでも行く価値がある、と社長は力説します。

「休みの日に部屋でSNSだけを見てたら、そこで情報は手に入る。でも、行ったら行ったで五感で感じるものがある。若いうちにしかできない体験は、かけがえのないものなんです」

梅干しが苦手な梅干し屋の社長。その逆境を武器に変え、日本の伝統食品を世界へ届けようとする挑戦者の言葉には、若者への深い愛情が込められていました。

◾ 取材担当の感想

健康と海外経験、一見関係のない2つのアドバイスですが、どちらも「若いうちにしかできない投資」という点で共通していると感じました。今は実感がなくても、将来必ず返ってくるもの。それは食生活であり、経験であり、人との出会いでもある。社長の言葉を胸に、私自身も今できることに全力で取り組もうと思います。貴重なお話をありがとうございました。