◇企業紹介◇
株式会社コンビボックスは、2006年に福島県で創業し、クリクラブランドの宅配水事業を展開する企業です。東北5県において唯一の製造拠点を持ち、福島県と岩手県の2工場から、地域の家庭や法人に安心・安全な水を届けています。2023年12月に東証プライム上場企業である株式会社ナックの連結子会社となり、現在は従業員約40名体制で事業を運営。今回は、代表取締役の植竹氏にお話を伺いました。植竹氏はマクドナルドで25年間のキャリアを積み、フランチャイズ本部での事業部長経験やM&A会社での取締役として企業再生の責任者を経て、2026年6月より現職に就任。取材担当は学生団体GOATの石嵜が務めました。経営者としての責任感、若者への期待、そして東北全域をカバーする5年後のビジョンまで、熱い想いを語っていただきました。

長年のキャリアから東北の水事業へ飛び込んだ決断
植竹社長のキャリアは、多くの就活生が想像する「一直線のキャリア」とは大きく異なります。大学卒業後、バブル真っ盛りの1990年前後にマクドナルドへ入社。マクドナルドでは25年間にわたり、最終的にはフランチャイズ本部で事業部長を務め、全国のフランチャイズオーナーに対する経営コンサルティングを担当していました。
その後、M&A会社にスカウトされ、事業の売買に携わるコンサルティング業務を経験。そして親会社である株式会社ナックへ転職し、2024年1月にコンビボックスへ出向、同年6月の定時株主総会で副社長に就任しました。そして2026年6月、代表取締役社長に就任。「外からアドバイスする立場」から「当事者として経営する立場」への転身です。
「最も大きな違いは、なんといっても責任感ですよね。経営者の方にアドバイスをしたり助言をして、経営者の方が実際に会社を経営されるわけですから、今その当事者に実際になっているのは全然違いますよね」
コンサルタント時代には感じることのなかった「当事者としての責任」。従業員とその家族の生活を守り、お客様との信頼関係を築き続けるという重責を、今まさに肌で感じています。世界一安全で安心で美味しい水を届けるという自負とともに、日々の経営判断に向き合っています。
◾ 取材担当:石嵜の感想
大手企業での25年間のキャリアから、経営者への転身。植竹社長の言葉からは、コンサルタントとして外から見ていた時には決して得られなかった「当事者としての充実感」が伝わってきました。アドバイスする側と実行する側、どちらが正解ということではなく、自分がどちらの立場でより力を発揮できるかを考えることが大切だと感じました。

ミッション・ビジョン・バリューを社員と共に作り上げる「町の中小企業」の挑戦
従業員33名、アルバイトを含めて約40名。決して大きな組織ではありません。しかし植竹社長は、この規模だからこそできることがあると考えています。現在、会社では約半年をかけてミッション・ビジョン・バリュー(MVV)を1から作り直すプロジェクトが進行中です。特筆すべきは、これを経営陣で決めるのではなく、社員のメンバーを集めてプロジェクトを組んでいるという点です。
「管理職プラスアルファで、そういうことに特性がありそうなメンバーで構成して、毎月集まってはあーでもないこーでもないみたいな話をしているところです。いわゆる中小企業だからこそ、みんなで会社を作り上げているっていう文化がすごく大事なんです」
植竹社長が経営において最も大切にしているのは、2つの責任です。1つは従業員に対する責任。従業員が働いて生活をしている、そのご家族の方々も含めて幸せにしなければならないという責任感です。もう1つはお客様に対する責任。世界一安全で安心な美味しい水を届けるという自負のもと、クレーム対応1つとっても信頼関係を築き上げることを重視しています。
◾ 取材担当:石嵜の感想
大企業では、MVVは「与えられるもの」というイメージがあります。しかしコンビボックスでは、社員自身が考え、議論し、作り上げていく。この「参加型の経営」は、中小企業ならではの強みだと感じました。就活生として企業を選ぶとき、「自分の意見が経営に反映されるか」という視点はあまり持っていませんでした。しかし、会社の根幹となる理念を自分たちで作れるという環境は、単に「働く場所」ではなく「自分の会社」という当事者意識を持てる貴重な機会だと思います。規模の小ささをネガティブに捉えるのではなく、そこにしかない価値を見出す視点を学びました。

「過大評価を過小評価してはいけない」若者の挑戦を信じ、見守る経営者の眼差し
「どの時代でも、20代の方々は『僕らの時代と違うな』と上の世代から言われると思うんですよね」。植竹社長は自身の経験を振り返りながら、そう語り始めました。バブル期に社会人になった当時、会社の先輩からは「新人類」と言われていたそうです。
「その世代その世代にやっぱり価値観というのはあるんだけども、10も20も離れた人から見ると必ず20代ってそういう風に見られるんだなと。それが世の習いじゃないかなと思います」
植竹社長が数十年のキャリアを経て今最も大切にしていることは、「どうやったらWin-Winになるか」ということです。商売をしていても、相手にとってもいいことになるのかを常に考えながら仕事をしている。しかし、この発想は何十年かやってみないと出てこないとも語ります。
「20代の頃はもう自分のことばっかり考えて、早く偉くなりたいとか、付き合っている彼女と美味しい飯を食いに行けるようにお金をもらいたいとか。そんな煩悩ばっかり考えてガムシャラにやっていたんです。でも、僕は20代それでいいと思っているんですよ。自分が1番でいいと思っている」
最初はガムシャラにやって、挫折したり、人に嫌われたり、部下に突き上げられたり、上司に飛ばされたり。そういう経験を重ねながら、何が足りないのか、どうすれば周りの人が喜んでくれるのかを学習していく。その潜在的な学びが、年をとって花開くのだと植竹社長は考えています。
そして、印象的な言葉がありました。「よく過大評価するという方々がいらっしゃると思うんですね。SNSや資格取得で色々な情報を得て、自分はもっとできると思っている人。僕はそういう人が好きです。過大評価を過小評価しちゃいけないなって思っているんですね。自分はできると思っている人は、すぐに取り掛かるんですよ。挫折もすると思うけど。でも、『お前、勘違いしてるよ』とか『全然ダメじゃん』とか、そういうことを僕は言いたくないし、そういう人の目を潰したくないなって思っています」
◾ 取材担当:石嵜の感想
「過大評価を過小評価してはいけない」という言葉は、今回の取材で最も心に響いたフレーズでした。就活や社会人生活において、「自信過剰」は批判されがちです。植竹社長は、自分はできると思って取り掛かることの価値を認めてくれました。もちろん挫折はある。でも、挫折を経験してこそ成長がある。その挑戦の芽を、「勘違いだ」と摘み取ってしまうのではなく、見守り育てる。そういう上司や経営者のもとで働きたいと、率直に思いました。Z世代は「自己肯定感が高い」と言われることがありますが、それを強みとして活かせる環境があることを知り、勇気をもらいました。

学生へのメッセージ
植竹社長から就活生へのメッセージは、自身の経験に基づいた温かくも力強いものでした。
「最初はもう、自分のために頑張って、ガムシャラにやるのが1番いいんじゃないかなと思います。挫折を繰り返しながら、失敗したり、人に嫌われたり、部下に突き上げられたり、上司に飛ばされたり。そういう経験を重ねながら、何が足りないのか、どうすれば周りの人が喜んでくれるのかを学んでいく。そうして学習していった先に、自分も相手も第三者もWin-Winになれる方法が見えてくるんです」
「今いろんな方々がいて、すごくいろんなところで活躍したり、3年で転職されていったり、僕らの時代には考えられなかったことがあるけれども、それが当たり前になってきて、それでいいんじゃないかなと。ポンポンチャレンジして、どんどん新しい世界に行って、ダメなら挫折して、また新しいところに行けばいい。そのうちに人間力、コンピテンシーの部分がだんだん大きくなってきて、花開くんじゃないかなと思っています」
そして最後に、こう締めくくりました。「過大評価を過小評価しちゃいけない。自分はできると思っている人の目を、潰したくないんです」
◾ 取材担当:石嵜の感想
植竹社長の言葉からは、若者への深い理解と期待が伝わってきました。「新人類」と呼ばれた自身の経験があるからこそ、Z世代を否定せず、その特性を強みとして捉えてくれている。20代は自分のためにガムシャラになっていい。挫折してもいい。転職してもいい。そうして経験を積み重ねた先に、花開く未来がある。この長期的な視点での人材育成観に大きな安心感を覚えました。目先の成果だけでなく、10年後、20年後の自分を見据えてキャリアを考えることの大切さを学んだ取材でした。