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【株式会社マルシャン】「信頼に応えたい」M&Aで4社を率いる経営者が語る、人を輝かせるリーダーの条件

2026年06月22日

株式会社マルシャン

【株式会社マルシャン】「信頼に応えたい」M&Aで4社を率いる経営者が語る、人を輝かせるリーダーの条件

◇企業紹介◇

株式会社マルシャンは、新潟県長岡市に拠点を置くパン製造・販売会社です。創業以来、地域の食文化を支えてきた同社は、5年前に株式会社鷲尾の代表・鷲尾達雄氏がM&Aによって経営を引き継ぎました。鷲尾氏は現在、株式会社マルシャンを含む4社の代表取締役を務め、約100名の従業員とともに食品原料卸売、農業資材販売、ガソリンスタンド運営など多角的な事業を展開しています。今回は鷲尾達雄社長に、学生団体GOATの石崎がインタビューを行い、M&Aの決断の背景から経営哲学、若い世代へのメッセージまで、率直にお話を伺いました。本記事では、60歳を迎える経営者が語る「人を輝かせるリーダー像」と「事業承継への想い」をお届けします。

「妻と結婚したら、漏れなく会社がついてきた」

鷲尾社長は東京出身。かつては他社営業職として働いていました。転機は28歳の時。後に妻となる女性との出会いがきっかけでした。「妻の実家が会社を経営していて、後継者がいないから継いでもらえないかという話になりました」と当時を振り返ります。株式会社鷲尾は、肥料・農業資材の販売、小麦粉や砂糖などの業務用食品原料の卸売、そしてガソリンスタンド運営という3本柱で事業を展開する会社でした。

「私自身は、何かやりたいことがあって起業したわけではないのです。妻と結婚したら、漏れなく妻の会社がついてきた」と鷲尾社長は笑います。婿養子として鷲尾家に入り、約30年にわたって会社を経営してきました。自らの意志で起業したのではなく、縁によって経営者となった背景が、後の経営哲学に大きな影響を与えています。

「やりたいことを事業にしているというよりは、元々ある会社をどうファインチューニングするかという視点でビジネスに向き合っています」。この姿勢こそが、鷲尾社長が複数の会社をM&Aで引き継ぎ、着実に経営を軌道に乗せてきた原動力となっています。

◾ 取材担当:石崎の感想

「妻と結婚したら、漏れなく会社がついてきた」という言葉が印象的でした。起業や経営というと、自分の夢や野望を追いかけるイメージがありましたが、鷲尾社長のように「縁」によって経営者になる道もあるのだと知りました。大切なのは、その縁をどう受け止め、どう向き合うか。就活でも、必ずしも「やりたいこと」だけを追い求めるのではなく、出会った環境でどう価値を発揮するかという視点が大事だと感じました。

「信頼に応えたい」——即決でM&Aを決断した論語とソロバン

5年前、株式会社マルシャンの前オーナー社長から相談がありました。諸般の事情で会社を手放したいが、M&A仲介会社に丸投げするのではなく、信頼できる相手に譲りたいという内容でした。「会社の名前を残したい、社員の身分を守りたい、取引先との関係を守りたい。そう考えると、縁もゆかりもない会社に譲るより、信頼関係のある人間にまずは相談するのがいいと判断されたのでしょう」と鷲尾社長は語ります。

株式会社マルシャンは、株式会社鷲尾にとって重要な取引先の一社でした。鷲尾社長はその場で即決。「ぜひうちに経営を引き継がせてください」と申し出ました。

パンの原料である小麦粉や砂糖を扱ってきた鷲尾社長ですが、パン製造のプロフェッショナルではありません。「不安はいっぱいでしたが、清水の舞台から飛び降りる思いで経営を引き受けました」。その後、株式会社スマートライフ等立て続けにM&Aを実施。現在は4社の代表を務め、約100名の従業員を率いています。

◾ 取材担当:石崎の感想

ビジネスは数字だけで動くものではなく、信頼や人情も大きな判断材料になる。特に「一番に声をかけてくださった気持ちに応えたい」という言葉からは、鷲尾社長の誠実さが伝わってきました。就活でも、条件だけで会社を選ぶのではなく、自分を信頼してくれる人や環境を大切にする視点を持ちたいと思いました。

「社員の目を輝かせられるのは社長だけ」——経営で最も大切にしていること

鷲尾社長が経営で最も大切にしているのは「従業員との絆」です。「今風の言葉で言えばエンゲージメント、昔風に言えばロイヤリティでしょうか。自分一人では何もできないので、社員の皆さんの力を借りなければなりません」。

社員一人ひとりには人生があり、やりたいことや生きたい生き方がある。それでも、縁あって入社してくれた以上は、長く働き続けてもらいたい。「終身雇用が批判される時代ですが、人が出入りする会社はよろしくない。長く人が働いて離職率が低い会社は強いと思っています」と鷲尾社長は断言します。

そのために必要なのは、社員からリスペクトされる経営者であること。「この人についていこう、この人を信じていけば食いっぱぐれなさそうだ、この人と一緒にいると成長できる。そう思ってもらえる人格と総合力が求められます」。

人材採用が困難な時代だからこそ、今いる社員を輝かせることが最優先だと語ります。「入社した人が『ここで働いている人たちは輝いている』と感じなければ、仮に入社してもすぐ辞めてしまいます。社員の目を輝かせられるのは、社長しかいません」。採用難の時代における最高の求人活動は、社員が「うちの会社最高だよ、うちの社長最高だよ」と言ってくれることだと鷲尾社長は考えています。

◾ 取材担当:石崎の感想

「社員の目を輝かせられるのは社長だけ」という言葉が胸に刺さりました。採用活動というとSNS発信や求人広告を思い浮かべがちですが、本質は「今いる人をどれだけ大切にしているか」なのだと気づかされました。就活生として、面接や説明会で社員の方の目が輝いているかを見る視点を持つべきだと感じました。それが、その会社の本当の魅力を見極めるポイントになると思います。

「みんなが向かうところに行かない」——SNS時代にあえて逆張りする経営哲学

若い世代を採用するためにはSNSでの情報発信が不可欠と言われる時代。しかし、鷲尾社長はあえて積極的には取り組んでいないと言います。「やりたい気持ちはありますが、運用が大変です。発信するだけなら簡単でも、継続するのはとても難しい。そして、そこにエネルギーを割ける人材がいても、もっと優先順位の高い業務に彼らの力を注いでもらわなければなりません」。

鷲尾社長はさらに続けます。「どんなに一生懸命SNSで発信していても、美味しくないカレーライスは売れない。本当にうまいカレーを作れば、ヘビーユーザーが勝手に発信してくれます」。会社そのものがしっかりとしたコンテンツや力を持つことが先決であり、自分で発信することよりも、発信される価値を作ることが重要だという考え方です。

「みんながSNSに向かっている今、逆にそこがレッドオーシャン化している。埋もれてしまいます。だから、あえて時代遅れであろうとする経営スタイルもあっていいのではないでしょうか」。流行に流されず、本質を見極める鷲尾社長の姿勢が表れています。

◾ 取材担当:石崎の感想

SNSが当たり前の時代に「あえてやらない」という選択肢があることに驚きました。しかし、「美味しくないカレーは売れない」という例えは非常に分かりやすく、本質を突いていると感じました。就活でも、自己PRのテクニックばかり磨くのではなく、PRできる中身を作ることが大切だと気づかされました。発信される価値のある自分になることが、結果的に最強の就活戦略なのかもしれません。

学生へのメッセージ——「忙しさは相対的なもの。人の力を借りる姿勢を大切に」

4社の代表を務める鷲尾社長に「お忙しいですよね」と尋ねると、意外な答えが返ってきました。「忙しさは相対的なものです。3時間の勉強で集中力を失う人もいれば、8時間維持できる人もいる。何を持って忙しいと感じるかは人それぞれです」。

そして、社会に出る若者へのアドバイスとして「一人では何もできない」ということを強調しました。「いかに多くの人の協力を得るか。社長だからといって何でも自分でやる必要はありません。私は婿養子として会社に入った人間。やりたいことを起業したわけではないからこそ、人の力を借りることに抵抗がないのかもしれません」。

60歳を迎える今、若い世代と交流する機会は減っていると言います。「自分の子供ですらもう30歳。だからこそ、今回のような機会はとても貴重でした」と鷲尾社長。

最後に、就活生へのメッセージを伺いました。「どんな会社に入っても、周りの人を輝かせることができる人間になってください。そうすれば、あなた自身も輝けるはずです」。人を大切にし、人に頼ることを恐れない。30年間の経営で培った鷲尾社長の言葉は、これから社会に出る私たちへの温かいエールでした。

◾ 取材担当:石崎の感想

「周りの人を輝かせることができる人間になれば、自分も輝ける」という言葉が心に残りました。就活では自分をアピールすることに必死になりがちですが、入社後に大切なのは周囲との関係性を築く力なのだと気づかされました。鷲尾社長が語る「人の力を借りる姿勢」は、これから社会に出る私たちが最初に身につけるべき考え方だと思います。今日のインタビューで学んだことを、就活だけでなく、社会人になってからも大切にしていきたいです。