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【株式会社佐藤食肉】「気づいたら売上が上がっていた」課題解決型経営で70年企業を進化させる3代目の哲学

2026年06月22日

株式会社佐藤食肉

【株式会社佐藤食肉】「気づいたら売上が上がっていた」課題解決型経営で70年企業を進化させる3代目の哲学

◇企業紹介◇

株式会社佐藤食肉は、新潟県で創業70年以上の歴史を持つ食肉卸売・小売企業です。現在は3代目となる佐藤社長のもと、従業員約200名、年商数十億円規模の企業へと成長を遂げました。商店街の精肉店からスタートし、現在では食肉の卸売事業に加え、直売所「ミートセンター」の運営、オンラインショップ展開、さらには畜産農家の経営支援まで幅広い事業を手がけています。今回は学生団体GOATの石崎が、佐藤社長の独自の経営哲学と、業界の課題解決に挑む取り組みについてお話を伺いました。「売上を狙って上げたのではなく、問題を解決していったら気づいたら上がっていた」と語る佐藤社長の言葉から、経営の本質に迫ります。

「継ぐのは当たり前」商店街の精肉店で育った幼少期から変わらぬ覚悟

佐藤社長は、新潟県の商店街にある精肉店で生まれ育ちました。「ちっちゃい頃から精肉店、お店が私生活の中にあったんですよ。そういうのを見て育った環境から、他に何かやるなんていう考えはなかったですよね。やるもんだと思ってましたよね。」と語る通り、家業を継ぐことは幼少期から自然な選択でした。

代表に就任したのは2年ほど前、ちょうど創業70周年のタイミングです。しかし、現在の規模は当時の精肉店とは比較にならないほど拡大しています。従業員約200名、複数の事業を展開するグループ企業へと成長を遂げました。

「気がついたらそうなってたっていうだけで、狙ってやってたっていうわけではないんです」と佐藤社長は語ります。この言葉の裏には、各年代で直面した壁を乗り越え、やり方を変化させてきた柔軟性がありました。

20代は「反骨心の塊」だったと振り返ります。「若いからダメだとか、なかなか思うようにいかない時もあったから、見返してやりたいっていう反骨心が一番強いのが20代でした」。営業先を自ら回り、人柄で勝負し、価格競争も厭わない。しかし、そのやり方には限界がありました。

「自分で20件お客さん持ったらもうパンパンなんですよね。30件も40件も回れない。人で売る商売って限界値があるんです」。さらに、新規獲得のために価格を下げれば利益は出ず、人も雇えない。この壁をどう超えるかが、その後の成長の分岐点となりました。

◾ 取材担当:石崎の感想

「継ぐのは当たり前だった」という言葉に、覚悟の深さを感じました。しかし同時に、当たり前を当たり前のまま続けるのではなく、時代や状況に応じて自らを変化させてきたことが印象的です。20代の反骨心から始まり、各年代で壁にぶつかりながらも乗り越えてきた姿勢は、就活生として「最初から完璧である必要はない」というメッセージに聞こえました。大切なのは、壁を認識し、変化を恐れないことなのだと学びました。

「自分がいなくても回る」仕組み化への転換が会社を変えた

佐藤社長が経営において最も重視しているのは「仕組み化」です。興味深いのは、その経営スタイルです。「自分ってお酒飲まないですよ。付き合い一切しないです。夜お客さんと会うこともほぼないです」と語ります。ゴルフもせず、業界の会合にも参加しない。昼の商談のみで、これだけの規模の会社を築き上げてきました。

「自分が取ったお客さん、1ヶ月後にも継続していただくにはどうするか。自分が営業に行かなくてもお客さんから来てもらうにはどうするか」。この問いを常に自分に投げかけ、仕組みを作り上げてきたのです。

30代になると、結婚や子供の誕生で考え方が変化します。「自分がっていうよりは家族が、というマインドにぐっと変わる」。そして40代になると、視野はさらに広がります。「今度は従業員だったり、もう1つ大きくスケールすると地域だったり、お世話になってる町や県のことを考えるようになる」。

理念について聞くと、佐藤社長は正直に答えます。「私は理念とかをがっつり語れるほど持ってないかもしれない」。しかし、この謙虚さの裏には、状況に応じて柔軟に変化してきた実践者としての強さがあります。ブレないことが良い場合もあれば、変化できることが強みになる場合もある。佐藤社長は後者の道を選び、結果として会社を成長させてきました。

◾ 取材担当:石崎の感想

「飲み会もゴルフもしない」という経営者像は、私の中の固定観念を覆すものでした。人脈を広げることが経営の王道だと思っていましたが、佐藤社長は仕組み化という別のアプローチで成功を収めています。就活において「自分に合った働き方」を見つけることの重要性を感じました。また、理念を「語れるほどではない」と正直に言える姿勢に、見栄を張らない誠実さを感じます。完璧な言葉より、実践から生まれた教養の方が説得力があると学びました。

「農家が儲からないと自分も儲からない」生産者支援から始まる独自のビジネスモデル

佐藤社長の経営の根幹にあるのは、「問題解決」という視点です。「自分はお客さんから依頼を受けたもの、問題を解決するところを結構動くタイプなんです」と語ります。売れる商品を作って売り込むのではなく、困っている人の課題を解決する。その結果として売上がついてきたというのです。

特に15年ほど前から取り組んでいるのが、畜産農家の経営支援です。「農業をやめるっていう話が最近頻繁に出てきて、どんどん日本の生産量が落ちていく。この問題の要因は一言で言うと儲からないからなんです」。

「弊社が儲かるには安定した仕入れが必要になってくる。それには農家さんが儲かってもらわないとダメなんです」。この発想が、佐藤社長のビジネスモデルの核心です。

畜産農家の経営において、餌代は出荷コストの5割から6割を占めます。この餌代を軽減するため、佐藤社長は新潟県内の食品企業から「食品残渣」を集める仕組みを構築しました。食品を大量生産している会社が普段捨ててしまっている部分など、これらを畜産農家の餌として活用するのです。

「大手食品企業が年間6000万円かけて産業廃棄物として捨てていたものが0円になる。農家さんは1000万円かけて餌を買っていたのが0円で餌が入るようになる。みんなが良くなるんです」。

この取り組みを実現するため、新潟大学や農業大学と連携し、学生たちに餌の配合研究を依頼しました。そして、研究に携わった学生がそのまま農場に就職するケースも増えています。

餌代が半分、大きいところでは8割も削減できた農家もあります。その利益でまず人を雇い、社長が現場から離れて経営を考える時間を作る。次にトラックや建物の修繕、そして生産量の拡大へと投資していく。この循環が、農家の経営を根本から変えていきます。

◾ 取材担当:石崎の感想

「自分だけが儲かる」のではなく「関わる全員が儲かる仕組み」を作るという発想に衝撃を受けました。就活では「自分が成長できる会社」を探しがちですが、その会社がどんな価値を社会に提供しているかも重要な視点だと気づきました。また、大学との連携で学生が研究に携わり、そのまま就職するという流れは、就活生にとって「仕事との出会い方」の新しい形を示しています。見えない業界にも面白い仕事があることを知りました。

社会を変える循環型プロジェクト

佐藤社長は、エコフィード活動をさらに発展させた「ますますポーク」というブランドを展開しています。これは単なる商品ブランドではなく、社会全体を巻き込んだ循環型プロジェクトです。

仕組みはこうです。ますますポークのシールが貼られた商品を消費者が購入すると、1円が子供食堂に寄付されます。しかし、その1円は消費者が負担するのではありません。餌代を削減できた農家と、廃棄コストが0円になった食品メーカーがその分を負担するのです。

「買うお客さんもこのシールがついている商品を買うと子供の支援になるんだと分かっている。でも売っているものは通常の価格なんです」。消費者は追加負担なく社会貢献ができ、農家と食品メーカーはコスト削減分を還元し、子供たちは支援を受けられる。三方良しならぬ、全体が良くなる仕組みです。

この取り組みを知った主婦層の方達が再度ますますポークを選んでいただける。この循環を生み出すことで、一過性のイベントではなく、持続可能な仕組みを構築しています。

「社会貢献としてずっとやっていかなきゃいけないところを継続してやってくれるにはどうすればいいのかを考える」。佐藤社長の言葉は、社会貢献の本質を突いています。

◾ 取材担当:石崎の感想

社会課題の解決に取り組む企業を見極める際、「その取り組みは継続可能か」という視点を持つことの重要性を学びました。一回きりのパフォーマンスではなく、仕組みとして回り続けるかどうか。この視点は、企業選びの重要な基準になると思います。

「分からないことに踏み込む」47歳の経営者がSNSを自ら運用する理由

佐藤社長は、Instagram、TikTok、YouTubeなど、SNSを自ら運用しています。「仕事だと思ってなくて、自分の中の日常だと思ってやってる。やらないと理解できないからついていけるように、やるようにしてるんです」。

その背景には、お肉の「種類」を伝えたいという強い思いがあります。「お肉って何種類あるのって言ったら、大体700種類ぐらいあるんです。だけどスーパーで出ているのは100種類ぐらい。残りの600種類はなかなか売られていないんです」。

若い世代が焼肉屋でカルビやタン、ハラミしか頼まない現実に、佐藤社長は危機感を持っています。「売れるものに集中して売る傾向があって、種類がどんどん減っている。これじゃあ迷子になる食材が出てくる」。

この課題を解決するため、7年前にコロナ禍の中で直売所「ミートセンター」をオープンしました。約400種類のお肉を揃え、「肉のデパート」のような存在を目指しています。「せめてこの地域の人たちはお肉を詳しくなってもらいたい」という思いからです。

さらに、365日毎日「肉日記」をつけています。「お肉ってこれだけ種類があるんだよっていうのを一人でもたくさんの人に知ってもらいたい」という使命感からです。

SNS運用も同様の目的です。「食べ方が分からないから購入の初動にならない。だから難易度が高い商品の食べ方やレシピをInstagramやTikTokで紹介している」。毎週金曜日にまとめて投稿を行い、調理スタッフと協力しながらも、アップロードや管理は全て佐藤社長自身が行っています。

「年を取るとどんどん考え方が硬くなってくる。だから自分が分からない知識のところは必ず踏み込んで理解しようとする」。新しくできたパンケーキ屋に若い女性が並んでいれば、自分も並んで体験してみる。「これをランチとして食べてるのか」と理解することで、若い世代との溝を埋めようとしているのです。

◾ 取材担当:石崎の感想

47歳の経営者が自らSNSを運用し、365日肉日記をつけている姿に、学び続ける姿勢の大切さを感じました。「分からないから反対する」のではなく「分からないから踏み込んで理解する」という考え方は、世代間のコミュニケーションにおいて重要な示唆を与えてくれます。就活生として、入社後に上司や先輩と良い関係を築くためにも、自分自身がまず「理解しようとする姿勢」を持つことが大切だと学びました。

学生へのメッセージ:「考えているようで考えていない」殻を破る行動力を

佐藤社長から就活生へのメッセージは、実践者ならではの説得力に満ちています。

「何かを売ろうと思ってやったっていうのは自分には全くないんですよ。今ある売上も狙ってやったんじゃなくて、気がついた時に結果こうなってましたっていうところ」。問題を解決し続けた結果、売上がついてきた。この順序を間違えないことが重要だと語ります。

また、「考えているようで考えていない」という言葉も印象的でした。固定観念に囚われず、本質的な課題を見つける目を養ってほしいと言います。

行動についても明確な価値観があります。「計画書通りに行動じゃなくて、やりながら修正している。行動が一番早いと思っている。スピードが早くないとどんなチャンスも遅れてしまう」。1ヶ月に10手打てるか3手で終わるかで、成功確率は大きく変わります。

最後に、知識と経験の重要性について。「仕事ができる人は、めちゃめちゃ情報量があるんです。何を聞いても何でも返ってくる。これはその人の知識量と経験値がめちゃめちゃあるから」。

「若いうちはできなくてもいいんだけど、無駄なことはないと思ってる。どんな職業にも成り立つ仕組みがあるから、なるべくたくさんの職業、やり方を理解するようにしていた方がいい。いつかそれが経験になるから」。この言葉は、就活という枠を超えて、人生における学びの姿勢を示しています。

◾ 取材担当:石崎の感想

「問題解決の結果として売上がついてくる」という考え方は、就活における企業選びの軸になり得ると感じました。その会社が何を解決しようとしているのか、自分はその解決に貢献したいと思えるか。この視点で企業を見ると、本当に自分に合った会社が見つかるのではないでしょうか。また、「行動が一番早い」という言葉に背中を押されました。完璧な準備を待つのではなく、まず動いて修正する。この姿勢を就活でも実践していきたいと思います。